東洋医学 テキスト No.5 – 五行学説
3)五行学説(ごぎょうがくせつ)
五行とは 木(もく)、火(か)、土(ど)、金(ごん)、水(すい)という五種類の物質を異なる性質、作用、形態に分類している。
相互に生み出し - 相生(そうせい)、
相互に制約する - 相克(そうこく)という関係があります。
それぞれ次のような特徴を持っています。
木・・・ 曲直 - 条達、伸びやか
火・・・ 炎上 - 温熱、上昇
土・・・ 稼ショク - 生化、受納
金・・・ 従革 - 粛清、変革、収斂
水・・・ 潤下 - 寒涼、滋潤、下行
○ 五行相生の順序 - 相互産生・相互助長
木生火、 火生土、 土生金、 金生水、 水生木、
(もくせいか) (かせいど) (どせいきん)(きんせいすい) (すいせいもく)
これを母子関係として説明している
○ 五行相克の順序 - 相互制約、相互抑制
木克土、 土克水、 水克火、 火克金、 金克木
(もっこくど) (どこくすい) (すいこくか) (かこくきん)(きんこくもく)
五行学説の運用
五臓系統の生理機能(~系統と記すのはその臓器に関る器官を指すため)
肝臓系統(木) 疏泄、昇発 : 肝 - 胆
心臓系統(火) 温煦作用 : 心 - 小腸
脾臓系統(土) 生化の源 : 脾 - 胃
肺臓系統(金) 静粛、収斂 : 肺 - 大腸
腎臓系統(水) 水を主る : 腎 - 膀胱
五臓の相生の関係
腎(水)の精は肝を養い
肝(木)の蔵する血は心を助け、
心(火)の熱は脾を温め、
脾(土)が化生する水穀の精微は肺を満たし
肺(金)の粛降作用により腎を助ける
五臓の相克の関係
肺(金)の氣は下降して肝陽を抑制し、
肝(木)は条達により脾氣の疏泄を行い
脾(土)は運化により腎水を制御し、
腎(水)は潤す作用により心火の亢進を防止
心(火)は陽熱により肺金の粛降を制約
中医学では五行学説を運用して、五臓系統の生理機能および相互関係を解釈して、人体と内外環境との相互連絡・相互制約という全体性と統一性を説明しています。