東洋医学 テキスト No.1 – 歴史

第1章すいなの基礎知識 

1)「すいな」 歴 史

中国伝統医学は4,000年の歴史を持ち、広大な風土と環境の中で古代から疾病との闘いの経験から生み出されたものとされています。

中国の戦国時代に(起源前400年~)「黄帝(こうてい)」という王様が部下に命じて人体の生理、基礎医学等を体系化、文書化したものが「黄帝内経(こうていだいけい)」としてまとめられました。
「黄帝内経」は「素問(そもん)」「霊枢(れいすう)」の2部構成となっています。
その後「黄帝内経」に対して研究がなされ、徐々に医学体系を構成するようになっていきました。

後漢時代(25年~)になって張仲景(ちょうちゅうけい)という人が「内経」を基礎として「傷感雑病論(しょうかんぞうびょうろん)」を著し、薬物治療に決定的な影響を与えて「医法の祖」、「医聖」と称されています。
「黄帝内経」と「傷感雑病論」は中医学文献の中で2大古典とされています。

その後、様々な研究がなされて盛衰をくりかえしながら発展していき、「針灸(しんきゅう)」を中心に世界に普及して経絡、経穴は現在WHOに登録されています。

中医学の三本柱は「鍼」「漢方」「推拿」となっており、西洋医学の考えを取り入れた病院にも「推拿科」があり、「推拿」の持つ手技の多様性、安全性、適応性の広さが認められているといえるでしょう。

中医学の理解は中国古代の哲学思想にあり、「陰陽五行」を中心とする古代哲学思想の理解が大切となります。

2)「すいな」の由来

「すいな」は「推拿」と書きます。

「すいな」は伝統中国医学の手技療法で「漢方」、「鍼」とともに公式に認められています。
医学大学にも「推拿科」が設けられているところがあり、病院でも市民に利用されて効果をあげています。

「推拿」は経絡に沿って手のひら、指を使って軽く擦る、つかむ、もむ、軽く叩く、圧迫する等の手技があり、手技の多様性、安全性、適応の広さが認められて歴史とともに継続されてきました。

「すいな」の最大の特徴は自律神経に作用して、体の機能を整えることにあります。
日本で人気のある街の整体、マッサージ店等もこの手法を使用しています。(“マッサージ”という名称は国家資格保有者でなければ表記できませんが、ここでは一般的な解釈として使用しています)

「推拿」という名称は中国の古代では「按摩」(アンモー)と呼ばれていましたがその後「按摩」の代名詞として「推拿」という言葉が使われてきました。

「按」「摩」「推」「拿」という個々の文字に意味があります。

「按」・・一方向に垂直に押す。

「摩」・・回す。

「推」・・一方へ押し進む。

「拿」・・つかみ上げる

要は“経絡に沿って手を用いて皮膚からの刺激を通じて、局所及び全身の機能を調整し、病原要素を除去する作用がある”といえます。

「推拿」療法には、体機能の調節、活血散雄瘀(かつけつさんお)=血流を良くする、体質の増強、鎮痛、筋肉など軟部組織を正常な状態に戻す、などがあります。恒常性 - ホメオスタシス - を保つというところが特徴です。

血流をよくして氣のめぐりを整えて自律神経の働きをよくしますので、ストレス軽減にも効果があります。
症状に応じて強弱深浅の加減をしますので安全な手技です。

人の体の状態を、①健康体、②未病、③病気またはけが、④病後やけがの治療後、とした場合整体で対応できるのは①②④で③は医者でなければできませんので注意が必要です。

3)「すいな」の施術と効用 - 最大の特徴
=手技による氣と自律神経の調整

すべての施術において必ず副交感神経を優位にしてあげることが施術の効用です。
これが「すいな」の最大の特徴です。

副交感神経は身体の安静に作用し、心拍数を減少させてリラクゼーションがすすみ、癒しと元気回復が促進されます。

それには停止圧(ていしあつ)が大切で押圧はゆっくり、じわーっという感じで行います。
停止圧というのは押圧をしたときに抵抗を感じるところで停止するということです。停止をせずに押し続けると痛さと不快感が残るので要注意です。

停止圧を長くすると(7~8秒)浸透圧が働いてリラックス効果がより進みます。このとき肩や背中のこりが溶けるような気持ちよさで眠気を感じると思います。

停止圧の後はゆっくり力を抜きます。皮膚の弾力で指が戻る感じです。

意識的にポンと離してしまうと、受者はそこに意識が集中していたリラックス効果がもとに戻ってしまうので注意が必要です。

次のポイントへ移動するときは体から完全に指を離してしまわないで、少し圧をかけながらすべらすように移動させます。

基本的には、両拇指を重ねて按法、按揉法、揉法などをしますが、片拇指でもかまいません。

両拇指で行う場合、下にある拇指は経穴にあてるセンサーの役割をして、上にある拇指で力を入れます。

力をかけるときは、腕の屈伸で力を加減します。

下にある拇指で力を入れたり、体重をかけて押圧を行うと正しい触診や施術ができないだけでなく、バランスも悪くなり安定しないのです。

片拇指で行う場合、もう一方の手は体のどこかに軽く触れておくようにします。体に触れることで受者は安心し、神経がリラックスできるからです。

体には“氣”が流れていて、“氣”はつながっていますので身体から手や指を離すと“氣”の流れがとぎれてしまいます。

施術者の左右の手と指は必ずどちらかが受者の身体に触れていて“氣”の流れを保持することと、次の手技への不安を持たせないようにします。

予告なしに手を当てられると、びっくりしたり、不快感を持たれますので、必ず声をかけてやさしく手を当てることが大切になります。

施術中は副交感神経を優位にしますが、そのままにしておくと脱力感が強く残りますので、施術が終わったときは背中を軽く叩いて、交感神経を優位に戻します。

「推拿」には痛みを軽減させると同時に、自律神経の安定をもたらして内臓の働きを良くして、ストレス軽減の働きがあるのです。

簡単に述べましたが、以上が「すいな」の最大の特徴で、中医学の基本原則であり、必ず守ることが必要です。

それが自然治癒を促進するための大原則なのです


4)推拿の強さ

推拿を使うとき、受者に伝える手技の強さは施術効果に直接影響を及ぼしますから症状とお体に基づいた手法を選択し、それに見合った強さを運用しなければなりません。

方法としては、最初に温和な手法を使い、次にゆっくり強めに、徐々に最大の強さに達します。

施術を終わる前には逆に、最大の強さから徐々に弱めていって停止します。

経穴推拿は得氣(えき)を要す、といわれて経穴を押さえたときに、受者が軽いしびれのような、また、じわっと広がる脹満感や放射性の痺れ感があるように押えていきます。

上記の感覚がなく、ただ疼痛を感じるだけでは、強すぎるか、定位が正しくないことになります。

受者の症状にあわせて手法を選び、強さも融通をきかせ、得氣を延長させてその程度を増強または緩和させます。

施術者は施術の前に氣を払い、呼吸を整えて、手をもんで暖め、関節をよくまわして準備をします。

これは施術をスムーズに行うためと、受者に冷たい刺激を与えないためです。

施術の際は全神経を集中させて、推拿の順序、強さ、時間を受者の反応に応じて調節します。

施術者の判断になりますが、反応を注意深く観察しながら調節していきます。

また受者にも協力していただくようにお願いして、手法や順序などについて簡潔に説明し、協力の方法についても随時説明していきます。

推拿の強さは受者と術者が協力してより効果があるという点で、推拿は合氣の術であるともいえます。

  • 得氣(えき)とは

鍼で使われる用語で、鍼を刺したとき皮膚の下のつぼに到達したときに感じるものです。皮膚の表面ではなく奥にズーンとする“ひびき”のような感覚で、痛いような、重いような、だるいような感覚で、つぼに当たった証拠と考えています。

推拿でも “得氣がなければ効果がない”と考えて、この感覚を大切にしています。

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